甲斐駒ケ岳①

黒戸尾根から
 
僕はタクシーの窓から深い緑の山々を眺めていた。
<僕が登ろうとしている甲斐駒ケ岳はどの山なんだろうか。>
 
韮崎駅から約30分(約7千円)で尾白川渓谷駐車場についた。
皇太子殿下もここから登られたようで、記念碑が建っていた。
ここから竹宇(ちくう)駒ケ岳神社へ足を進める。
 
甲斐駒ケ岳は古くから信仰の山として登られてきた。
麓の駒ケ岳神社には石碑や矛が祀られている。
神社を通り抜け、森の中へ続く登山道へ僕は一歩足を踏み入れた。
 
 
 
今回の登山ルートは黒戸尾根から山頂を目指す道で、これは信仰の道でもある。
僕が黒戸尾根を目指す理由は何だろうか。
 
まず、修験者たちが登った同じ道を歩くことによって、古人の思いの一端にでも触れられればと思ったから。
そして、『日本三大急登』の一つに挙げられる黒戸尾根に挑戦してみたいと思ったからだ。
半月ほど前にNHKで放映された「小さな旅」を見たことも心惹かれる理由の一つだ。
 
朝10時に出発。
きついコースだということを肝に銘じて登っていく。
樹林帯の道は急な登りだが、一歩ずつゆっくりと歩みを進める。
覚悟を決めて登っているだけに、それほどきつくは感じなかった。
しかし、それは最初のうちだけだった・・・。
 
登り始めて約2時間で笹ノ平に到着。
ここは横手駒ケ岳神社からの登山ルートとの合流地点である。
ここから八丁登りと呼ばれる長い登りが続く。
道の傍らには信仰を表す石碑が点在している。
古人もこの長い登りを歩いてきたのだ。
 
 
笹ノ平から約1時間40分で、「刃渡り」と呼ばれる難所にたどり着いた。
切り立った岩の背の部分を通らなくてはならない。
崖下に滑落したら遭難間違いなしだ。
 
 
 
 
慎重に渡ってゆく。
しかし、しっかりとした鎖があるので慎重に通れば問題はなかった。
これで難所をクリアしたと胸を撫で下ろしたが、本当の意味での難所はこれからだった。
 
つづく
 
 
 
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